2026年10月から始まる指定対象期間の指定より、ふるさと納税の地場産品基準が厳格化されます。加工品については区域内で過半の付加価値が生じたことの証明が求められ、自治体のロゴを付けただけの区域外製品は返礼品にできなくなる見込みです。
トイレットペーパーや洗剤といった日用品は、全国流通しているメーカー品が中心です。「日用品の返礼品は消えてしまうのでは」と心配になるところですが、ヨリドリが毎朝集計している381件の返礼品を自治体別に調べたところ、構造としてはかなり頑健でした。何が残り、何が危ういのかを実データで見ていきます。
まず、何が変わるのか
報道と各ポータルの案内をまとめると、主な変更点は次の4つです。
| 変更点 | 内容 |
|---|---|
| 地場産品基準の厳格化 | 加工品は、区域内で過半の付加価値が生じたことの証明が必要になる |
| ロゴ付き工業製品の上限化 | 直近1年で住民・事業者向けに配布・販売した実績がない、またはその数量を超える場合は返礼品にできない |
| 一般販売価格の記載 | 付加価値のかさ上げを防ぐため、一般販売価格の併記が求められる |
| 費用の透明化 | メーカーの証明書や、一定額以上の支払先の社名・金額が公表される |
なお、2025年10月からはポータルサイトによるポイント付与がすでに禁止されています。「どのサイトで申し込んでもポイントは付かない」という前提は、今回の改正とは別にすでに始まっている点に注意してください。
日用品は「全滅」ではない ─ 381件を調べた結果
改正が狙っているのは、区域外で作られた製品に自治体のロゴを貼っただけのような返礼品です。では、日用品の返礼品は実際どうなっているのでしょうか。
ヨリドリの掲載381件のうち、商品名に全国流通ブランド名が含まれるのは101件(27%)でした。その自治体別の内訳が下の表です。
| 自治体 | 件数 | 主なブランド |
|---|---|---|
| 秋田県秋田市 | 14件 | スコッティ・クリネックス |
| 岐阜県可児市 | 13件 | エリエール |
| 静岡県富士宮市 | 11件 | エリエール |
| 愛媛県四国中央市 | 8件 | エリエール・グーン |
| 香川県観音寺市 | 5件 | シルコット・ムーニー |
| 徳島県阿南市 | 4件 | ネピア |
| 千葉県市原市 | 4件 | ライオン |
| 静岡県富士市 | 3件 | スコッティ |
| 神奈川県小田原市 | 3件 | システマ・ライオン |
| 福島県いわき市 | 3件 | クレラップ |
並べてみると傾向がはっきりします。ブランド品を扱っている自治体は、そのメーカーの製造拠点がある土地に集中しています。製紙の集積地、化学メーカーの本拠地、日用品工場の立地。そういう組み合わせばかりです。
これは「ロゴを貼っただけ」とは構造が違います。その土地の工場で作られているのであれば、区域内で付加価値が生じていることの証明もしやすいはずです。日用品の返礼品が軒並み消えるという展開は、少なくとも現在の掲載品を見るかぎり考えにくいと言えます。
ただし、工場があっても「付加価値の過半」の証明という事務負担は新たに発生します。原材料や工程の一部が区域外にある場合、証明が難しいケースは出てくるでしょう。証明の手間を理由に自治体が取り下げを選ぶ可能性は残ります。
むしろ注意すべきは「自治体の集中」
改正そのものより現実的なリスクは、特定の自治体への依存度です。1つの自治体が方針を変えただけで、カテゴリ全体の選択肢が細ってしまうためです。
| カテゴリ | 掲載数 | 自治体数 | 最多の自治体 | 集中度 |
|---|---|---|---|---|
| 🔴 乾電池 | 3件 | 2 | 兵庫県加古川市 | 67% |
| 🔴 タオル | 39件 | 5 | 大阪府泉佐野市 | 62% |
| 🟡 ウェットティッシュ・おしりふき | 19件 | 6 | 香川県観音寺市 | 42% |
| 🟡 歯ブラシ・歯磨き | 11件 | 5 | 大阪府箕面市 | 36% |
| 🟡 ゴミ袋 | 6件 | 5 | 北海道小樽市 | 33% |
| 🟡 ラップ・アルミホイル | 9件 | 6 | 福島県いわき市 | 33% |
| 🟢 シャンプー | 7件 | 6 | 愛知県愛西市 | 29% |
| 🟢 トイレットペーパー | 140件 | 32 | 静岡県富士市 | 26% |
| 🟢 おむつ | 8件 | 5 | 愛媛県西条市 | 25% |
| 🟢 ハンドソープ・ボディソープ | 16件 | 9 | 岐阜県本巣市 | 25% |
| 🟢 キッチンペーパー | 13件 | 8 | 秋田県秋田市 | 23% |
| 🟢 入浴剤 | 9件 | 6 | 岡山県瀬戸内市 | 22% |
| 🟢 洗剤・柔軟剤 | 23件 | 12 | 福岡県嘉麻市 | 17% |
| 🟢 ティッシュ | 35件 | 21 | 栃木県小山市 | 11% |
| 🟢 水・ミネラルウォーター | 43件 | 27 | 山梨県忍野村 | 9% |
もっとも集中しているのがタオルで、大阪府泉佐野市に62%が集まっています。ここが見直されると選択肢が大きく減ります。
逆にもっとも分散しているのが水・ミネラルウォーターで、27の自治体に43件が散っています。水源地や製紙産地のように「その土地でなければ成立しない」産業は、地場産品としての説明がつきやすく、改正の影響を受けにくい領域です。
選ぶ側の実務としては、集中度の高いカテゴリを狙うなら早めに、分散しているカテゴリは急がなくてよいという判断ができます。
「一般販売価格の記載」は、使う側にとって朗報
今回の改正で個人的にもっとも大きいと考えているのが、一般販売価格の記載です。
ふるさと納税でよく語られる「還元率」は、返礼品の市場価格 ÷ 寄付額で計算します。ところがこの市場価格が曲者で、同じ商品でも店舗・時期・セールの有無で数百円は動きます。日用品はとくに特売の影響が大きい分野です。どの価格を分母に置くかでランキングの順番が変わってしまうため、還元率を掲載しているサイトどうしで数字が食い違うのは自然なことでした。
一般販売価格が返礼品ごとに明示されるようになれば、推定ではなく公表された数字で還元率を計算できるようになります。サイトによって還元率がバラバラという状況は、改正後にかなり改善されるはずです。
なおヨリドリでは現在、推定値である還元率をあえて数値化せず、誤差の入りようがない「1単位あたりいくらか」を掲載しています。一般販売価格が取得できるようになった段階で、還元率の表示も検討します。
改正前に申し込んでおくべき?
結論から言えば、急ぐ必要があるのは一部だけです。
まず前提として、ふるさと納税はその年の1月1日から12月31日までの寄付が、その年の控除対象になります。10月の改正を意識して前倒しで申し込んでも、控除の枠そのものが増えるわけではありません。上限を超えて寄付すれば、超えた分は自己負担になります。
そのうえで、次のように考えると整理しやすいはずです。
- 集中度の高いカテゴリで、ほしい返礼品が決まっている場合 ─ 早めに動く価値があります。改正後に取り扱いが変わる可能性があるためです
- 水や紙製品のように分散しているカテゴリ ─ 急ぐ理由は薄いです。むしろ改正後は一般販売価格が明示されるので、比較しやすくなります
- 控除上限に余裕がない場合 ─ 前倒しの意味はありません。上限の範囲内で、年内に必要な分を申し込めば十分です
そもそも11〜12月は全国的に寄付が集中し、発送が年明けにずれ込むことも珍しくありません。改正とは関係なく、年末の駆け込みを避けて秋のうちに動くのは合理的な選択です。
まとめ
- 2026年10月から地場産品基準が厳格化され、ロゴを貼っただけの区域外製品は返礼品にできなくなる見込み
- ただし掲載381件を調べたかぎり、日用品のブランド品はメーカーの製造拠点がある自治体に集中しており、構造としては頑健
- 現実的なリスクは改正そのものより自治体の集中。タオルは62%が1自治体に依存している
- 一般販売価格の記載義務は使う側にプラス。還元率の比較がしやすくなる
- 前倒しの必要があるのは、集中度の高いカテゴリでほしい品が決まっている場合だけ
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この記事は2026年8月時点の報道および各ポータルサイトの案内をもとに、ヨリドリの掲載データ(381件・122自治体)を独自に分析したものです。制度の詳細な運用は今後変わる可能性があります。最終的な内容は総務省および各自治体・ポータルサイトの公式案内をご確認ください。当サイトはアフィリエイトプログラムにより収益を得ています。















